こぼれ話

2018.07.14

あなたは何族?

今から20年くらい前だと思うんですけど「すごい!」の意味で「やばい!」を使う人たちを知ってびっくりしました。

今はそれはかなり浸透していると思うのですけど、当時はかなり「世界が違う人」という気がしたものです。

「ぜんぜん大丈夫」みたいに「ぜんぜん」のあとに否定が来ないのも言葉としては違和感がありますが、逆にその違和感が「強調」になってる気がして

「ぜんぜん大丈夫」という言葉を使うこともあります。

私の中になじんでしまっているわけです。

 

とある大学にて、留学生を連れて寺社仏閣に行くという催しがありました。

留学生たちを引率するのは、チューターという同じ学部の先輩たち。

留学生のホストをするくらいだから、世話好きで明るい人懐っこい人たちでした。

このチューターのひとりが、私がびっくりするほど「言葉が違っていた」わけです。

 

境内はすさまじく暑いけど、社務所はエアコンが効いていたのでちらりと開いて漏れてくる冷気に

「ここ、えぐいな~」

高額なお札を求める人々を見て

「信心まるだしやな~」

最初は意地悪を言ってるのかな?と思ったのですが、そうでなくて彼らはむしろ褒めていたり、うらやましがっているだけ。

感情の載せ方があまりにも違いすぎて、よく考えないと褒めてるのかけなしてるのかすらわからない感じなのです。

 

こういうのを指して「日本語が乱れている」というのではなくて、「共通認識をもてる部族としての違いを感じる」というのが正しいと思います。

彼らの言葉がやすやすと通じる彼らの一族がいるわけです。

そして私には、私の属する一族がある。

人は意識的・無意識的に自分の属する部族を選んでそこに安住している。

この「部族」とは年齢や性別、血統でなくカルチャーや価値観によって隔てられているのがおもしろいところです。

 

あなたがふだん仲良くしている人たちは、きっと同じ部族の人たちなのです。

部族の違いは親子でもあります。むしろ親子の方が部族が違う場合が多いと思うのですけど、もし同じなら相当な僥倖だと思います。

違う部族の人たちと交流して大きな成果を上げた人もいます。

成果とは何か、という答えだけでもどんな部族が知る手掛かりになりますね。